2023/10/24 07:00


NEC ライフスタイル統括部 スマートウェルネスグループ

2018年にNECの研究所がオープンイノベーションのイベントを開催した際、靴の中に内蔵できるコンパクトなセンサーで歩容を計測できる技術から事業化のアイデアを練り始めましたことが歩行センシングインソール開発のスタートでした。

20208月に一般消費者向けのサービスを開始。NECとしては初めてのクラウドファンディングを用いた製品化に成功しました。さらに医療機関等からの引き合いを基に、2021年からは研究機関向けに従来は計測が困難であった施設外での日常歩容計測ツールとしての提供も開始しています。

そして、さらなる事業拡大に向けて、NECは「歩くこと」に切実な要望を持っている方が集うリハビリ分野に着目しました。リハビリといっても病院内、介護施設、クリニックなど、様々な場所でリハビリが提供されていますが、NECが特に注目したのは「自費リハビリ」の分野でした。自己負担でリハビリを受ける人はまだ多くはいませんが、その需要は年々増加しています。さらに、これらの利用者の多くは、保険でカバーされるリハビリよりも専門的なアプローチを求め、自身のリハビリに関するより高いニーズを持っておられます。課題を明確に抱えています。

この状況の中で、2022年秋に、脳梗塞リハビリセンターの技術責任者である鶴埜さんと出会い、脳梗塞や脳出血患者に伴う下肢の麻痺に対する新しいサービスの可能性を探り始めました。

NECでは直接、脳梗塞リハビリセンターの利用者にサービスや課題についてお話を伺いたいと思い、利用者に直接インタビューを実施しました。

インタビューにおいては、利用者の驚くべき回復度合いとセンターへの満足度の高さやセラピストに対する強い信頼感に感銘を受け、脳梗塞リハビリセンターのセラピストたちをサポートしたい、利用者の方々にもっと回復して欲しいとの思いが芽生えました。

また、利用者から直接聞いた声を通じて、脳梗塞や脳出血による麻痺や歩行の課題を抱える人々、杖や補助具を使わずに歩きたいと望む人々の願いを肌で感じることができました。

一方で、多くの利用者は自宅での継続的なトレーニングや日常の場面での歩行指導に課題を抱えていることも知ることができました。例えば、日常の自分の歩き方がよく分からないとか、セラピストから指導されている内容通りにできているか?が分りづらかったり、セラピストに自分の感覚を伝えづらい。といった課題に悩まれていることを知りました。


これらの問題を解決するために、NECと脳梗塞リハビリセンターは共同でサービス開発をスタートしました。


歩行改善に焦点を当てながら、脳梗塞リハビリセンターの熟練の理学療法士が麻痺や後遺症の影響がある人々の歩行データの特徴を抽出し、データをもとにどのようにアドバイスをすべきか?目標を達成するための指標は何か?等を実証実験を通じて確認してきました。

これらの実証を通じて開発した新たなソリューション「WALK BETTER」サービスは、これまで10万件以上の脳梗塞・脳出血の後遺症を抱える方々のリハビリで培ってきた熟練の理学療法士のナレッジとAIやスマホの開発で培ってきたITテクノロジーを掛け合わせることで誕生したサービスです。

現在先行リリース中のアプリをさらに改善し、新たな機能を追加していく予定です。